LPを刷新することになり、掲載する写真を初めて外部のカメラマンへ依頼する。そんなときに手が止まるのは、撮影そのものより前の段階ではないでしょうか。どの写真がどの場所に入るのか、誰に何を写してほしいのか、どこまで伝えれば意図が通じるのか。言葉にできないまま撮影日を迎えると、届いた写真を見て「イメージと違う」と感じ、撮り直しの相談をすることになります。撮り直しは費用だけでなく、公開日の調整や社内の確認もやり直しになります。

この記事では、写真を撮る前に決めておきたいことを、掲載位置ごとの役割から順に整理します。最初の画面、説明の途中、会社や人を伝える場面では、写真に求められる役割がそれぞれ違います。その違いを押さえたうえで、被写体・場所・時間帯・写す範囲を言葉にし、カットごとの依頼メモへ落とすところまでを扱います。完成したメモは、当日の確認や受け取った写真の見直しにもそのまま使えます。

写真の使われ方を先に決める

最初の画面で見せる写真

最初の画面は、訪問者がページを開いてすぐ目にする場所です。写真は飾りではなく、サービスが何をするかを一目で伝える役割を持ちます。撮影前に、どの利用場面を写すかを一文で書いておくと、カットの候補が絞られます。

サービスの利用場面が伝わるか

来店型のサービスなら、外観よりスタッフと利用者が向き合う場面のほうが伝わりやすいことがあります。予約画面を操作する手元と、その場にいる人の表情を一緒に写すと、利用の流れが想像しやすくなります。これは書き方を示すための架空の例で、自社に実際にある場面だけを選びます。

文字を重ねる余白が残るか

写真の上にキャッチコピーやボタンを重ねる場合、被写体を画面いっぱいに置くと文字の場所がなくなります。横向きと縦向きの両方で、あきがどこに残るかをカメラマンに伝えておきます。

説明の途中で使う写真

流れや特徴を説明する段落では、文章だけでは伝わりにくい手順や道具を補う写真が役立ちます。雰囲気より、何をしている場面かが分かることを優先します。

手順や道具が写っているか

「申し込みは3ステップ」と書いた横に、その1つを写した写真を置くと、読者は自分の行動を重ねやすくなります。どのステップを写すか、使う道具と登場する人をカットごとに決め、小道具は事前に用意します。

拡大しても分かるか

写真はスマートフォンでは小さく表示されます。手元の細かい作業や文字の入った道具は、寄りのカットも一緒に撮っておくと選べます。

会社や人を伝える写真

会社紹介では、働く人の表情と職場の空気が伝わる写真が求められます。実際の職場にない演出を加えると、読者との間にずれが生まれます。

働く人の表情と背景

視線や手元は、指示で作るより自然な作業の瞬間を撮るほうが伝わることがあります。背景に写る物を先に確認し、片付ける物と残す物を決めておきます。

撮影場所の候補

実際に仕事をしている場所、窓の光が入る場所、静かに撮れる場所を候補にし、時間帯による人の多さも伝えます。雨や混雑のときの代替案も添えておきます。

掲載位置ごとの写真の役割
掲載位置写真の役割撮影前に決めること
最初の画面サービスの内容を一目で伝える写す利用場面を一文で決め、文字を重ねる余白の位置を伝える
説明の途中手順や道具を補足するどのステップを写すか、使う道具と登場する人を決める
会社・人働く様子と職場の空気を伝える撮る場所の候補、背景に残す物と片付ける物を決める

3つの場面を並べると、必要なカットと、それぞれで確かめることが見えてきます。次の章では、この整理を依頼メモの項目へ落とし込みます。

撮影カットを言葉にして、依頼メモにする

依頼メモに書く項目

依頼メモは撮影の指示書であると同時に、後から「何のために撮った写真か」を思い出す記録にもなります。思いついた順に書くと抜けが出るため、カットごとに同じ項目を並べる形にします。

用途と掲載場所

その写真がどのページのどこに入り、どんな文字と並ぶかを書きます。「トップの下、特徴の1つ目」のように位置を示すと、構図の判断がぶれません。写真の上に文字を重ねるかどうかも添えておきます。

被写体と人数

誰が、何人、何をしているところを写すのかを決めます。手元だけを写すカットは、誰の手なのかまで書いておくと当日に迷いません。外部に出せない情報は伏せ、人数と役割だけを伝える形でも通じます。

納品してほしい形

データの形式、色の設定、解像度、トリミングの有無を伝えます。LPでは横長の画像とスマートフォン向けの縦長の画像を並べて使うことがあるため、同じ場面を両方の向きで撮っておくと後から選べます。形式は推測で決めず、制作側の指定を確認してください。

次の表は、用途・被写体・撮影場所・納品形式をまとめた、記入の仕方を示すための架空の例です。列を増やしすぎず、撮影する人が読んでそのまま動ける項目に絞ります。

カットごとの依頼メモの記入例
カット番号用途・掲載場所被写体と人数撮影場所納品形式伝えておくこと
C-01最初の画面(メイン画像)スタッフ2名と利用者1名店内の窓側横長・トリミングなし左側に文字を重ねるため余白を残す
C-02特徴の1つ目(申し込みの流れ)手元のみ1名受付カウンター横長と縦長道具全体が入るよう、寄りのカットも撮る
C-03会社紹介働く人2名作業スペース横長背景の私物は片付け、窓の光が入る時間に合わせる

参考写真の使い方

「こんな雰囲気で」と口頭で伝えるより、参考写真を数枚添えるほうが早いことがあります。ただし参考写真は完成形の指定ではありません。何を参考にしたいのかを、言葉で添えておきます。

構図の参考と、そのまま似せない範囲

明るさ、寄り引きの具合、人物の向きなど、参考にしたい点を1枚につき1つ書きます。「同じ構図で」とだけ伝えると、自社の空間や人数と合わないまま撮影が進むことがあります。

他社の写真をそのまま使わない確認

参考に集めた写真をそのままLPへ掲載することはできません。撮影者や写っている人、建物への確認が必要です。参考用と掲載用はフォルダを分け、渡すときも参考用だと分かる名前にしておきます。

撮影時間の考え方

時間の見積もりはカット数だけでは決まりません。場所の移動、準備、確認のやり取りで前後します。

カット数と移動で変わること

同じ場所で続けて撮れるカットは、まとめると時間が詰まります。別の階や屋外へ移る場合は、移動と設営を別に考えます。撮影の順番は場所ごとに並べ替えると組みやすくなります。

予備の時間をどこに置くか

人数が多いカットや、初めて協力してもらう場面は、説明と確認に時間がかかります。最初のカットの前と、人数が変わる境目に余裕を置くと、遅れが後ろへ響きにくくなります。

メモが埋まると、当日に確認する内容も自然と決まります。次の章では、撮影の日に誰が何を確かめるかを整理します。

撮影の当日に確認すること

前の章で、カットごとの依頼メモができました。撮影の日はそのメモを手に、写ってよい人・場所・物と、公開したあとの扱いをその場で揃えます。ここが抜けると、写真は届いても掲載できないカットが生まれます。朝に一度読み上げ、撮影の合間にもう一度見る前提で、確認する項目を絞っておきます。

人物の写り方の確認

掲載範囲と掲載期間の伝え方

写ってもらう人には、どのページのどこに、いつまで載るのかを伝えます。掲載期間の目安と、掲載をやめるときの連絡先も添えておくと、後からの相談がしやすくなります。口頭だけで済ませず、伝えた日と内容をメモに残します。

顔を出さない場合の撮り方

顔を出さないカットは、撮影のあとで判断するのではなく、当日の構図として伝えます。後ろ姿、手元、肩越しなど写す範囲を先に決めておけば、撮り直しを減らせます。名札や制服の名前など、身元が分かるものが写らないかも一緒に見ます。

建物・商品・社名の扱い

背景に写り込むものの確認

オフィスや店舗では、背景に私物や掲示物、他のお客さまの姿が入ります。カメラマンが合わせた画面をその場でモニター確認させてもらい、写したくないものが入っていないかを見ます。片付ける物と、あえて残す物は依頼メモに書いておきます。

他社の商品やロゴを写さない配慮

棚に他社の商品が並んでいる、パソコンの画面に他社のロゴが出ている、という場面は起こります。写さない、または目立たない位置へ移す、という判断を撮影前に決めておきます。判断がつかない物は、その場で画面から外すのが確実です。

データの受け渡し

受け取る形式と保管場所

データの形式や解像度は、LPの制作側が扱えるものを先に確認します。共有リンクか記憶媒体かという受け取り方法と、社内の保管場所も決めておくと、担当者が変わっても探せます。誰が受け取り、誰が保管するかまで決めておきます。

撮影日とカット番号の記録

納品されたファイル名と、依頼メモのカット番号を対応させておくと、探す時間が減ります。撮影日、撮影場所、写っている人の範囲を1行添えた記録を残すと、掲載の確認を後から追いやすくなります。

次の表は、当日の確認を読み上げる順に並べた例です。実際の撮影記録ではなく、項目の作り方を示すためにまとめたものです。

撮影当日にその場で読み上げる確認リストの例
確認する場面確認することその場で決めておくこと
撮影を始める前写る人全員に、掲載先と掲載期間の目安を伝えたか掲載をやめるときの連絡先と、伝えた日をメモに残す
人物のカット顔を出さない約束の人が、後ろ姿や手元だけで写っているか名札や制服の名前など、身元が分かるものを外す
背景の確認私物、掲示物、他のお客さまが画面に入っていないか片付ける物と残す物を決め、モニターで一緒に確認する
商品・ロゴ他社の商品やロゴ、パソコンの画面が写っていないか移せる物は位置を変え、判断がつかない物は外す
データの受け取り形式・解像度・受け渡し方法が制作側の指定と合っているか保管場所と、受け取る担当者を決める
撮影の終わりカット番号と撮影日が記録に残っているか納品ファイル名と依頼メモの番号を対応させる

当日の確認が済むと、次に待っているのは届いた写真の見直しです。次の章では、明るさや余白、文字の重なりなど、LPに置いてから気づきやすい点を先に見る方法を整理します。

受け取った写真を、LPに置く前に見る

撮影が終わり、データが届いたら、まず一通り目を通します。ここで見るのは、出来栄えを評価するためだけではありません。LPのどの位置に置くと読みやすいか、文字を重ねても邪魔にならないか、後から差し替えやすい形で残せるか。掲載してから気づくと、直す範囲が広がります。

トリミングで印象が変わる

届いた写真は、こちらの画面より大きく、被写体の周りに余分な空間が写っています。LPの枠に合わせて切る前提で見ておくと、使えるカットを選びやすくなります。

主役をどこに置くか

その写真で一番伝えたいものが、切った後も残るかを確かめます。人物の表情、手元の道具、商品の形です。スマートフォンでは画面の中央付近しか目に入りにくいため、主役が端に寄りすぎていないかも見ます。

切ると意味が変わる要素

手元だけを寄ると、誰が何をしている場面か伝わらなくなります。たとえば、書類を手渡す場面を手元だけにすると、渡しているのか受け取っているのか分かりません。これは判断の仕方を示すための架空の例です。切る前に、その要素が意味を持っているか一度立ち止まります。

同じ写真でも、余白の取り方で文字の置き場所と読みやすさが変わる(配置の考え方を示す架空の例)
見るポイント余白を残した配置余白が少ない配置
主役の位置人物を右寄りに置き、左に空間を残す人物を中央に大きく配置する
文字を重ねる場所左の空間にキャッチコピーを置ける文字を置くと顔や手元にかかる
スマホでの見え方文字と被写体が離れて読みやすい画面が狭いと文字と被写体が重なりやすい

文字を重ねる位置の余白

最初の画面では、写真の上にキャッチコピーやボタンを重ねます。撮影前に余白を頼んでいても、実際に文字を載せた見え方は、届いた写真で確かめるまで分かりません。

スマホで見たときの重なり

パソコンで整っていても、スマートフォンでは写真の表示が狭くなり、文字が被写体にかかることがあります。幅を狭めた画面で一度表示し、文字が乗る範囲に顔や手元が来ていないかを見ます。重なる場合は、写真を寄せる、文字の位置を変える、上下に分ける、といった選び方があります。

差し替えを見越して保管する

公開した後も、写真を差し替えたくなる場面はあります。季節の商品が変わった、担当者が変わった、同じ写真を別のページでも使いたい。元のデータが残っていると、加工をやり直さずに済みます。

  • 撮影で受け取ったままのデータ
  • LP用に切ったり明るさを整えたりしたデータ
  • 依頼メモのカット番号と撮影日の記録
  • 写っている人の掲載範囲の記録

元のデータと加工後のデータを分ける

受け取ったままのデータと、LP用に加工したデータは、フォルダを分けて保管します。加工後のファイルだけが残っていると、別の大きさが必要になったときに作り直しになります。

撮影時のメモを一緒に残す

どのカットが何のために撮った写真かは、時間が経つと分からなくなります。依頼メモのカット番号、撮影日、写っている人の掲載範囲を、データと同じ場所に置いておきます。

ここで見た観点は、撮影前の依頼メモとつながっています。用途と余白の指定、写ってよい人の範囲がメモに残っていれば、届いた写真の確認は、そのメモと照らし合わせる作業になります。