下書きを何度も読み返して、文章は仕上がったつもりでいても、CMSの「公開」ボタンの前で手が止まることがあります。編集画面で見えているものが、読者の目に触れる画面と同じとは限らないからです。見出しの階層、画像の大きさと余白、リンクの行き先、スマートフォンでの折り返し。原稿を書いている間は意識から外れやすいこうした箇所に、公開してから気づく問題は残りがちです。

この記事では、公開前に確認する場所と順番を、本文以外で崩れやすい箇所、リンクと遷移、スマホでの見え方、公開当日の段取りの順に整理します。すべてを一度に点検しようとすると、どこかが抜けます。上から順に、同じ手順で毎回たどれる形にしておけば、初めての公開でも、久しぶりの公開でも、確認漏れを減らせます。

本文以外で崩れる場所を知る

編集画面で整って見えても、読者が見る画面では別の崩れ方が起きます。原稿を直す作業とは分けて、表示だけを見る時間を先に決めておくと、見落としを減らせます。

見出しの階層が飛んでいないか

見出しは文字の大きさではなく階層で付けます。H2の下にH4が直接続くと、目次や読み上げの構造が崩れ、読者は今どこを読んでいるのか分かりにくくなります。

H2とH3の対応

書き終えたら、H2とH3の組み合わせを書き出します。H3がないH2が続くなら、H3に下げるか、内容を二つに分けられないかを見ます。

目次が自動で作られる場合の見え方

目次は見出しの階層をそのまま映します。H4まで並ぶと項目が増えすぎるため、目次に出す範囲を決め、同じ文言の見出しが続いていないかも確かめます。

画像の大きさと余白

横に長い画像

横長の画像を幅いっぱいに置くと、文字との間隔が詰まり、端の要素が切れることがあります。上下に余白を足すか、画像をトリミングして収めます。

小さい画像を拡大したときの粗さ

小さな画像を引き伸ばすと輪郭がぼやけます。実際に表示される大きさでプレビューし、粗さが目立つなら元の画像を差し替えます。

表が狭い画面で読めるか

列の数

列が増えるほど、スマートフォンでは一つのセルに入る文字が減ります。列を削るか、行を分けて二つの表にすると読みやすくなります。

横にスクロールする表の扱い

横スクロールの表は、動かせることに気づかれないと読まれません。表の前に一言添えるか、項目を絞って縦に並べ替えます。

崩れやすい場所と、確認する画面・タイミングの対応
崩れやすい場所確認する画面確認するタイミング
見出しの階層公開プレビューと、自動生成された目次本文を書き終え、見出しを直した直後
画像の大きさと余白スマートフォン幅のプレビュー画像を差し替えたとき
表の列数スマートフォン幅のプレビュー表を追加したとき、列を増やしたとき
横スクロールの表指で横に動かしたときの見え方表を貼った直後と公開前日

見出しを直せば目次の項目が変わり、画像を差し替えれば余白が動きます。三つを上から順に一度通し、直した箇所だけもう一度見る形にすると、確認の抜けが減ります。

リンクと遷移を確かめる

文章を読み返すとき、目はリンクの文字を追っても、飛んだ先までは見ていません。公開前の確認では、リンクを読むのではなく押す作業として切り分け、本文の順番どおりにたどります。

内部リンクの行き先

社内の記事へのリンクは、公開日が過ぎているかどうかで結果が変わります。

公開前の記事へのリンク

公開日が翌日以降の記事へリンクを張ると、読者にはページが見つからないと表示されます。プレビューで開けても、読者が押す時点で公開されているかを、日付と時刻を並べて確かめます。

URLの変更や統合があったページ

URLを変えた、または別の記事へ統合したページは、転送の設定が残っているかで挙動が変わります。古いURLを貼っていないか、リンク元の記事を一覧にして見ます。

外部リンクの開き方

別のタブで開くかどうか

外部サイトへのリンクは、同じタブで開くか別のタブで開くかが揃っていないと、読者は戻り方に迷います。社内に決まりがあればそれに合わせ、決まりがなければ公開前に一覧で見直します。

リンク切れの確認

外部サイトは、こちらの都合と関係なく移転や終了があります。公開前に一度開き、公開後にも同じURLを開いて、ページ名と内容がリンクの文言と合っているかを見ます。削除されていたら、リンクを外すか代わりのページを探します。

資料やフォームの接続

ダウンロードの動作

資料のダウンロードは、押したあとに何が起きるかまで確かめます。ファイルが開くのか保存されるのか、スマートフォンでも同じように動くのか。ファイル名に日付や版が入っていないと、読者が古い版を持ったままになります。

問い合わせの送信先

フォームは、実際に送信して届くかまで見ます。テスト送信であることを件名に書き、社内の誰が受け取るかを事前に伝えておきます。自動返信に古い窓口や住所が残っていないかも合わせて確認します。

リンクの種類確認すること見る画面
内部リンク公開日が過ぎているか、統合前の古いURLが残っていないか公開プレビューと、記事一覧に出ている公開日時
外部リンク遷移先のページ名がリンクの文言と合うか、別のタブで開く設定か実際の記事ページをスマートフォン幅で開いた画面
資料のダウンロード押したあとに開くのか保存されるのか、ファイル名に版や日付があるかスマートフォンでの表示と、保存したファイルの中身
問い合わせフォームテスト送信が届くか、自動返信に古い窓口が残っていないか送信後の完了画面と、届いたメール
リンクをたどる順序
  1. 本文を書き終えた時点で、記事内のリンクをすべて書き出す
  2. 内部リンクを開き、公開日と遷移先の内容を確かめる
  3. 外部リンクを開き、リンクの文言と遷移先が合うか見る
  4. 資料のダウンロードとフォームの送信を、スマートフォンから試す
  5. 公開後、実際の記事URLから同じ順番でもう一度たどる

公開前に一度たどっておくと、公開後に見つかる不具合は、文言や写真の細かい直しに収まります。

スマホで見たときの印象を確かめる

編集画面を広い画面で見ていると、余白も行間もゆったり見えます。けれど読者の多くは手のひらの画面で記事を開きます。見える範囲は狭くなり、見出しは折り返され、画像は幅に合わせて縮みます。

最初の画面で何が伝わるか

記事を開いて最初に見える範囲に、何の話かと読み進める理由が入っているかを見ます。スクロールするまで主題が分からない状態だと、本文の前に画面を閉じられます。

見出しと画像の位置

見出しの直後に大きな画像を置くと、最初の画面が見出しと画像で埋まります。導入の一文を先に置くか、画像を小さくして、主題が読める状態にします。

続きを読む導線

「続きを読む」や目次のボタンは、折り返しで二行になり、押せる範囲が分かりにくくなることがあります。指で押したときの反応も確かめます。

長い見出しと改行

見出しは、折り返したあとの形で読みやすさが変わります。

句読点の位置で切れるとき

句点や読点の直後で行が変わると、文の区切りが分かります。助詞の前や言葉の途中で切れると意味のまとまりが崩れるため、語順を変えて折れる位置を調整します。

英数字と記号の折り返し

長いURLや型番、半角の英数字が続くと、はみ出したり画面の外に切れたりします。横にスクロールしていないかを確かめ、表記を短くするか区切りを入れます。

画像の差し替えと代替テキスト

差し替え前の画像が残っていないか

画像を差し替えたとき、古い画像が残って見えることがあります。プレビューではなく実際の記事URLを開き直し、意図した画像が出ているかを見ます。

代替テキストの有無

代替テキストは、読み上げで画像の内容を伝えるために入れます。読み込みが遅いときに何の画像かも分かるので、飾りの画像には短い説明にします。

PCの画面とスマートフォンの画面で見え方が変わる箇所
要素PCの画面スマートフォンの画面確認する箇所
見出し一行に収まり、全体が一度に読める二〜三行に折り返し、下の本文が押し下げられる折れた位置が句読点の直後か、語尾が不自然に切れていないか
画像横に並べても余白が残る幅に合わせて縮み、縦に長く見える最初の画面に本文の一文が入っているか
表列が一度に見渡せる列が詰まるか、横スクロールになる動かせることに気づけるか、セルの文字が折り返されて読めるか
ボタン・リンク一行の帯として収まる折り返して二行になり、押せる範囲が分かりにくい指で押したときに反応する範囲と、文言の切れ方

見出しを直した、画像を差し替えた、表を足した。そのつど同じ幅で開き直すと、崩れはその場で見つかります。確認する場所を三つに絞れば、短い時間で同じ順番をたどれます。

公開の段取りを決めておく

公開の事故は、文章の出来ではなく段取りから起きます。下書きのまま残る、日時を一日間違える。どちらも内容の確認では見つからず、公開の前後の手順が決まっていないところから生まれます。公開当日に何をどの順で見るかを、記事ごとに考え直さずに済む形にしておきます。

公開日時と告知の順番

日時を決めるときに見るのは、記事の完成度より先に、告知の予定です。配信や投稿の予約が先に動いていれば、その時刻に記事が開ける状態かを逆算して確かめます。

メールやSNSの配信時刻との前後

配信が記事の公開より先に届くと、読者は開けないページへ案内されます。予約を入れる順番は、記事の公開、URLの確認、配信の順です。配信側の予約は、記事が公開されたあとに設定します。

予約公開を使う場合の確認

予約を入れたら、その時刻が正しいかを曜日と日付を並べて読みます。同じ時刻に別の記事の予約が重なっていないかも見ます。投稿一覧を開き、下書きのまま残った記事がないことを確かめておくと、公開し忘れを防げます。

公開後のURL確認と共有

公開ボタンを押したあと、すぐに終わりにしないのがこの段階です。プレビューのURLと、読者が開くURLは別ものです。公開後のURLを自分で開き、見出しと画像が出ているかを確かめてから共有に移ります。

社内への共有文

共有文は、用件が一行目で分かるように書きます。長い説明を添えるより、誰に読んでほしい記事なのかを短く添えるほうが、社内でも開かれやすくなります。

  • 記事のタイトルと公開後のURL
  • 誰に向けた記事か、何を知らせたいのか
  • 公開日と、修正があったときの連絡先

リンク集の更新

サイト内のリンク集、プロフィール欄、資料の末尾など、記事へ貼ったままにしている場所を一覧にしておきます。新しい記事を出すたびに差し替える作業を同じ日に置いておくと、古いURLが残りません。

修正が必要になったとき

公開したあとに誤りが見つかることはあります。慌てて消すのではなく、直す順番を決めておけば、読者と社内の混乱を小さくできます。

公開後に直す場合の手順

まず修正する箇所を控え、本文を直し、公開中の記事で反映を確かめます。誤字や表記の統一なら、告知の文面まで直す必要はありません。日付や手順のように読者の行動に関わる箇所は、直したうえで告知側にも連絡します。

告知済みの内容を変えるときの連絡

配信済みのメールや投稿で伝えた内容を変えるときは、同じ媒体でもう一度触れるか、問い合わせ先で補足します。何を、いつ、どう変えたかを短く書き、訂正であることを伏せません。

公開当日に上から順にたどるチェックリスト
順番確認すること見る場所・相手
1予約の日時が正しいか、下書きのまま残った記事がないかCMSの投稿一覧と予約一覧
2公開直後のURLで、見出し・画像・リンクが意図どおりか公開後の記事ページ(スマートフォン幅も)
3社内へ共有文を送り、公開したことを知らせる社内チャットやメール
4リンク集やプロフィール欄のURLを新しい記事に差し替えるサイト内のリンク集、SNSのプロフィール
5記事が開ける状態になってから配信を送るメールやSNSの配信予約画面
6公開後に直した内容と、告知した文面にずれがないか修正の記録と、配信済みの文面

段取りを一枚にしておけば、公開のたびに手順を思い出さずに済みます。日時、URL、共有、修正の四つを同じ順でたどる形にしておくと、初めての公開でも、久しぶりの公開でも、同じ場所で止まれます。