友だち追加は増えたのに、リッチメニューを押してもらえない。そんなとき、まず画像のデザインを変えたくなります。ただ、押されない理由は画面の中だけにあるとは限りません。来店前の予約案内、店内のPOP、来店後のお礼配信が同じ行動を別々の場所から促していると、お客さまはどこから動けばよいか迷います。

この記事では、枠を埋める前に押してほしい行動を3つへ絞り、文字と画像が一致しているかをスマホの実機で確かめ、差し替えた後に使われ方を見直す順番で整理します。項目の多さや見た目の派手さより、お客さまが次に進みやすいかどうかを基準にします。

リッチメニューが押されない理由を、画面の外側から見る

押されない理由を画像の色や文言だけに求めると、直す場所が狭くなります。リッチメニューは、来店前・店内・来店後の判断を支える接点の一つです。まず画面の外側で、ほかの案内と役割が重なっていないかを見ます。

友だち追加直後に、何を見せているか

友だち追加の直後は、お客さまが「このアカウントを残す理由」を確かめる場面です。クーポン、予約、店舗情報を一度に並べると、次に何をすればよいか分かりにくくなります。追加直後のメッセージと画面で同じ特典を繰り返していないか、実機の画面を並べて確認します。

表:よくある運用と、お客さまが迷う場面(例)
よくある運用お客さまが迷う場面原因の候補
追加直後にクーポンと予約を同時に表示クーポンを使うのか、予約を先にするのか分からない優先する行動が一つに決まっていない
店頭POPと同じ特典を画面にも掲載店員に聞くか、画面を押すか迷う案内する場所の役割が重なっている
季節の催事を複数の枠で紹介どれが今の目的か分からない差し替える時期と枠のルールがない

店頭POPとリッチメニューの役割を分ける

店頭POPは、来店した人へその場の情報を伝えます。リッチメニューは、来店前の予約や来店後の確認など、店頭にいない時間の行動も支えます。同じ文言を繰り返すのではなく、POPは店内の判断に、画面は次の一歩に、と役割を分けます。

同じ特典を二重に案内していないか確認する

同じ特典を両方に出すこと自体は問題ありません。ただ、POPで「本日限り」と伝え、画面でも同じ条件を出すと、どちらを優先するか迷わせます。条件、対象、期限を見比べ、スタッフの口頭案内も含めて、伝える場所を決め直します。

来店前から来店後までの接点を並べると、どこで何を決めてほしいかが見えます。次は役割分担を考えるための例です。

図解:来店前・来店時・店内・来店後の接点と役割(例)
  1. 来店前:営業時間や予約の可否を画面で確認する
  2. 来店時:店頭POPでその日の商品や特典を知る
  3. 店内:スタッフが条件や対象を口頭で補足する
  4. 来店後:LINEで次回の予約や確認へ進む

枠を埋める前に、押してほしい行動を3つに絞る

枠が空いていると、商品やサービスを順に入れたくなります。ただ、並べる順番は見た目のバランスではなく、お客さまが迷わず次の一歩を選べるかで決まります。まずリッチメニューで押してほしい行動を3つまで書き出し、その中から最初の1枠に置くものを一つに決めます。

予約・注文・問い合わせを同じ重さで並べない

予約、注文、問い合わせは、どれも大切な行動です。しかし同じ大きさで並べると、お客さまはどれを押せばよいか迷います。いま店として増やしたい行動を一つ選び、残りは補助の枠に回します。判断の材料は、店頭で受ける質問や、スタッフが口頭で案内している内容です。押される数は、実際に表示してから見るものとして、先に見込みで決めないようにします。

最初の1枠に置く行動の決め方

最初の1枠は、いちばん多くのお客さまが同じ場面で必要とする行動にします。飲食店なら来店前の予約、小売店なら営業時間や在庫の確認が候補になります。迷ったときは、店頭で「どこを見れば分かりますか」と聞かれることが多いものを選びます。決めた理由を一言残しておくと、後の見直しで判断をたどれます。

表:目的別の項目数と優先順位(架空の店舗例)
店舗の例優先する行動項目数最初の1枠補助の枠
架空例:席数が少ない定食店来店前の予約3つ予約する営業時間、日替わりメニュー
架空例:商店街の小売店商品の取り置きの問い合わせ3つ取り置きを相談営業時間、新入荷の案内
架空例:テイクアウト中心の飲食店注文3つ注文する受取時間、メニュー

季節の販促は差し替え枠として扱う

季節の販促は、期間が終われば不要になります。常設の行動と同じ重さで並べると、お客さまは毎回どれを押せばよいか読み直すことになります。販促は差し替え用の枠を一つ決めて置き、終わったら元の案内に戻します。開始日と終了日、戻す作業をする人を先に決めておくと、古い案内が残りません。

表:文字・アイコン・枠の配置例(ワイヤーフレーム案)
位置置く要素ラベル例確認する点
上段左(大きい枠)アイコン+文字予約する最初の1枠になっているか
上段右(大きい枠)アイコン+文字営業時間常設の案内か
下段左(小さい枠)アイコン+短い文字日替わり文字だけで意味が通るか
下段右(小さい枠)差し替え枠今月の催事終了後に戻す前提か

3つに絞ると、空いた枠をどうするか迷うかもしれません。空いた枠は、思いついた案内で埋めるのではなく、差し替え枠か補助の案内に使うと決めておきます。置き場所のルールを先に決めておけば、項目数が少しずつ増え続けるのを防げます。

文字と画像が一致しているかを、スマホで確かめる

リッチメニューは、文字とアイコン、遷移先の画面がそろって初めて意味が通ります。編集画面では小さく見えても、スマホでは押す大きさや文字の詰まり方が変わります。公開前に、実際に使う端末で一つずつ確かめる順番を決めておきます。

アイコンだけで意味が伝わるか

アイコンは言葉を補うものですが、意味を置き換えるものではありません。カレンダーの絵が予約を指すのか営業日を指すのかは、店によって変わります。文字ラベルを必ず添え、アイコンを隠した状態でも何の枠か分かるかを確認します。

遷移先の画面まで開いて確認する

枠を押した先の画面がラベルと合っているかも見ます。メニューと書いてあるのに営業時間のページが開いたり、予約の枠が問い合わせフォームにつながったりすると、お客さまは戻る操作をすることになります。公開前に全枠を実際に押し、表示までの速さと戻り方も確かめます。

画像の差し替え後に古い案内が残っていないか

画像だけを新しくすると、遷移先に前回のキャンペーンや終了した日付が残ることがあります。差し替え前の画像、現在の画像、遷移先の文言を並べ、期間、対象、店舗名が一致しているかを見ます。古い案内が見つかったときは、案内文とリンク先を同じタイミングで直します。

表:公開前に見るチェックリスト(例)
区分見る項目確認の例
表示スマホの実機で文字が欠けずに読めるか端末の幅で枠が詰まり、ラベルの後半が切れていないか見る
表示アイコンを隠しても意味が通るか絵がなくても「予約する」と読めれば判断しやすい
文言ラベルと遷移先の内容が同じか「営業時間」を押して営業時間の画面が開くか
文言期間や条件が今の案内と合っているか終了した催事の日付や古い店舗名が残っていないか
遷移先すべての枠を実際に押したか公開前に全枠を開き、戻る操作も試す
遷移先表示までの待ち時間が長すぎないか店頭で待つ人がいる場面を想定して開く

枠ごとの行き先を一枚にすると、どの案内が途中で切れているかを見つけやすくなります。

図:各枠から遷移する画面の例(架空の店舗を想定)
  1. 予約する → 日時を選ぶ画面 → 予約完了の画面
  2. 営業時間 → 店舗情報の画面 → 地図アプリ
  3. 日替わり → メニューの画面 → そのまま閉じる
  4. 今月の催事 → 特集の画面 → 予約または来店案内

確認は公開前の一度で終わりではありません。画像を差し替えた日と遷移先を直した日を同じ記録に残すと、次に見直すときにどこを確かめたか分かります。

差し替えた後に、使われ方を見直す

リッチメニューを差し替えたあとは、お客さまがその変更に気づく機会を用意します。画像を新しくしても、配信や店頭での案内がなければ、変更は届きません。ここでは、知らせ方と、その後に使われ方を見直す順番を整理します。

変更を知らせる配信と店頭案内

配信では、変わったことを一言で伝えます。項目を増やした話ではなく、「予約が画面の左上から押せるようになりました」のように、お客さまの操作がどう変わるかを書きます。店頭では、会計のときに口頭で添えるだけでも気づいてもらえます。配信と店頭で同じ文を繰り返す必要はなく、それぞれの場面で伝わる長さに整えます。

  • 配信:変更した項目と、そこから何ができるようになったかを短く伝える
  • 店頭:POPや口頭で、画面のどこを押せばよいかを伝える
  • 記録:差し替えた日と、案内を出した日を同じメモに残す

数字の前に、店頭の会話を聞く

反応を数字だけで判断すると、押されなかった理由は見えてきません。お客さまが店頭でスタッフに何を聞いたか、どの画面で止まったかは、数字より先に手に入る材料です。「予約の場所が分からなかった」と言われたなら、文言と位置のどちらを見直すかを決められます。

振り返りは、差し替える前と後で同じ項目を比べられるようにします。比べる材料がそろっていないうちは、良し悪しを決めず、次に確かめることを一つ決めるだけにしておきます。

図:差し替えから再変更までの流れ(例)
  1. 差し替える:項目と文言を決め、公開前に実機で確認する
  2. 周知する:配信と店頭で、変わった点を伝える
  3. 振り返る:店頭の会話と表示の記録を集める
  4. 再変更する:直す場所を一つに絞って差し替える

よくある失敗と、最初に戻る判断

ここまでの手順を踏んでも、運用を続けるうちに少しずつずれていきます。項目が増える、画像だけが新しくなる、知らせたはずの変更が届いていない。どれもよくあることで、失敗そのものより、どこに戻るかを決めておけるかが次の改善を左右します。

項目を増やしたくなる時の確認

空いた枠を見ると、紹介したい商品や季節の案内を入れたくなります。増やす前に、その項目が常設の行動か、期間限定の案内か、補助の情報かを書き分けます。同じ行動を二つの枠から促していないか、増やした分だけ外す枠を決められるかも見ます。外す枠を決められないときは、いったん置かないほうが扱いやすくなります。

  • 常設の行動か、期間の案内か、補助の情報かを一言で書き分ける
  • 既存の枠と同じ行動を促していないか、ラベルを並べて見る
  • 増やす項目と引き換えに外す枠を、一つ決めておく

画像だけを変えても改善しない場合

画像の変更は、色や写真が古いときには効きます。ただ、押されない理由が「押す理由が分からない」「行き先が違う」「変更が届いていない」にあると、絵を変えても反応は変わりにくくなります。同じ状態が続くときは、画像を戻して、最初の1枠の行動、ラベルと遷移先の一致、周知の有無の順に確かめます。

表:失敗の兆候と、見直す場所(架空の店舗を想定した例)
失敗の兆候見直す場所最初に確かめること
枠が埋まらず、思いついた案内を足している押してほしい行動の絞り込み常設・期間・補助のどれかを一言で説明できるか
同じ行動を二つの枠から促している最初の1枠の決め方主役の行動と補助の行動が入れ替わっていないか
ラベルと、開いた画面の内容が違う文字と遷移先の確認全枠を実機で押し、戻り方まで試したか
差し替えたのに、店頭で同じ質問が出る変更の知らせ方配信と店頭案内のどちらか一方だけになっていないか
変更した日付や理由を説明できない記録の残し方変えた日・場所・理由を一行でたどれるか

見直す場所が複数あるときは、画像からではなく、押してほしい行動の絞り込みへ戻ります。兆候が二つ以上重なっている、店頭で同じ質問が続いている、変更した日と理由を説明できない。そんなときは差し替えを一度止めて、最初の1枠から確かめ直します。全部を元に戻す必要はありません。変えた日付、変えた場所、決めた理由を一行残しておけば、次にどこへ戻るかで迷いません。