LINE公式アカウントの開設が済み、友だち追加の画面に質問を置こうとしたところで、手が止まります。名前は聞くべきか、来店のきっかけまで尋ねたら離脱されるのではないか、生年月日は必要なのか。聞きたいことは次々に浮かぶのに、何をどこまで聞けば配信に生きるのかという基準が見つからず、項目だけが増えていく。ここで思い出したいのは、質問は配信のためにあり、配信の目的が決まっていなければ聞く項目も決まらない、という順番です。
この記事では、その順番に沿って項目を絞っていきます。まず配信の目的を一つに定め、その目的で実際に使う場面を具体的にします。次に、聞いてよい情報と聞かなくてよい情報を分け、選択式と自由記述の使い分けや、答える負担の軽さを確かめます。そのうえで、登録直後にまとめて聞くのか、初回の配信の後で分けて聞くのかというタイミングを比べ、回答を誰が確認して配信に反映するのか、情報が古くなったときはどうするのかまでを扱います。読み終えたころには、自店の友だち追加画面に置く項目を、理由を言葉にできる形で選べるようになっているはずです。
質問を決める前に、配信で使う情報を決める
友だち追加の画面に質問を置くと、名前、来店のきっかけ、生年月日と、思いつく項目が次々に浮かびます。しかしこれは質問が先、配信が後の順番です。配信で何を届けるかが決まっていなければ、聞いた情報を使う場面も決まりません。
配信の目的を一つに絞る
目的は「LINEを活用したい」のような抱負ではなく、誰に何を届け、読者にどう動いてほしいかまで書きます。平日のランチ利用を増やしたいのか、一度来た人に次の来店を考えてほしいのか、新商品を知ってほしいのか。複数あるときは、今回優先する一つを決めます。二つの目的が混ざると、一通に伝えたいことが詰まり、読者は何をすればよいか分からなくなります。
目的を決めたら、その配信で読者に取ってほしい行動を一つ置き、行動を支える情報を並べます。行動につながらない情報は、今の目的では不要だと判断できます。
聞いた情報を使う場面を書き出す
次に、候補の項目ごとに、どの配信のどこで使うかを書きます。宛先を分けるのか、文面の書き出しに使うのか、案内する商品や日時を選ぶのか。使う場面が思い浮かばない項目は今回の質問から外します。情報は後の配信で足せます。
- 宛先を分ける:回答によって配信の対象を絞り込む
- 文面に使う:書き出しや案内の言葉を変える
- 案内を選ぶ:商品や日時など、送る内容を決める
次の表は、項目の決め方を示すための架空の例です。実在する店の結果ではありません。
| 配信の目的 | 必要になる情報 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 平日のランチ利用を増やしたい | 来店しやすい曜日と時間帯 | 平日の案内を、来店しやすい時間帯の人へ送る |
| 一度来た人に次の来店を考えてほしい | 前回に選んだ料理の種類 | 同じ系統の新商品を、季節の変わり目に案内する |
| 新商品を早く知ってほしい | 関心のある商品の分野 | 分野ごとに、紹介する商品の順番を変える |
目的と使う場面が対応づくと、聞く項目は自然に絞られます。使う場面を説明できない項目は、答えてもらう負担だけが残るためです。
聞いてよい情報と、聞かなくてよい情報を分ける
友だち追加の画面に質問を並べると、聞くほど配信に使える情報が増えるように思えます。しかし、答えてもらえなければ情報は残りません。ここでは、聞いてよい情報と聞かなくてよい情報を、答えやすさの観点から分けます。
選択式と自由記述の使い分け
選択式は選ぶだけで答えられ、集計もしやすい形式です。受け取りたい案内の種類や関心のある分野など、あらかじめ選択肢を用意できるものに向きます。自由記述は書き手の言葉が残る一方で、入力の手間が大きく、答えが人によってばらつきます。宛先を分けたいのか、文面の言葉を拾いたいのかで使い分けます。
- 選択式:選択肢を用意でき、配信の宛先や条件に使う情報
- 自由記述:選択肢に収まらない希望を、任意で受け取りたいとき
- 使う場面がない項目は、今は聞かず後から足す
知りたいことより、答える負担を優先する
店側が知りたいことと、読者が答える負担は一致しません。生年月日や住所は、誕生日の案内や地域の情報を届けると決めたときだけ必要になります。目的が決まっていないのに聞くと、負担だけが残り、登録の途中で離れるきっかけにもなります。必須は配信の分岐に使う最小限にとどめ、答えなくても困らない設計にします。
| 項目 | 分類 | 設計の理由 |
|---|---|---|
| 受け取りたい案内の種類 | 必須(選択式) | 送る内容を決めるため、配信の分岐にそのまま使える |
| 来店の回数 | 任意(選択式) | 案内の出し分けに使えるが、答えがなくても配信は成立する |
| 関心のある商品の分野 | 任意(選択式) | 文面の書き出しや案内の順番に使う。後から足せる |
| 生年月日 | 今は聞かない | 誕生日の案内を届けると決めた後は必須にする。決めるまでは、使う場面を説明できないため今は聞かない |
| 住所 | 聞かない | 地域ごとに案内を分けると決めるまでは、取得の理由を説明できない |
| 自由記述の相談内容 | 任意 | 言葉を拾いたいとき以外は、入力の負担が大きい |
表は判断の進め方を示すための架空の例で、実在する店の運用結果ではありません。必須にするかどうかは、答えがなくても配信できるかを基準にすると、線引きしやすくなります。
質問を一画面に詰め込まない
友だち追加の画面に質問を並べると、登録の直前でまとめて聞くことになります。読者はまだ配信を一度も受け取っておらず、なぜその質問に答えるのかも分かりません。項目を絞ったうえで決めるのは、いつ、どの順番で聞くかという点です。
登録直後と、初回配信後のどちらで聞くか
登録直後に聞くよさは、回答がその場でそろうことです。ただし読者は登録の手間が終わった直後で、質問の意図を知らないまま答えることになります。初回の配信の後に聞くよさは、何が届くかを知ったうえで答えられることです。一方で回答は遅れ、答えない人も出ます。どちらか一方に決める必要はありません。登録直後は配信の分岐に使う最小限だけを聞き、残りは初回の配信の後で聞く、という分け方もあります。
- 友だち追加
- あいさつと配信内容の案内
- 初回の配信
- 質問(任意)
- 回答に応じた配信
聞く位置を後ろにずらすと、読者は配信の内容と質問の関係を理解してから答えられます。登録直後に置くのは、答えによって送る内容が変わる項目に限ると、画面も短くなります。
答えなかった人への配信をどうするか
質問を分けても、全員が答えるとは限りません。回答がない人を除いて配信を止めると、届くはずだった案内が届かなくなります。回答の有無にかかわらず成立する配信を既定にし、答えた人だけ内容を変える設計にします。
- 回答がなくても同じ内容が届く配信を、あらかじめ用意する
- 質問は任意であることと、答えると何が変わるかを短く伝える
- 回答を後から追加・変更できる場所を案内する
- 未回答を理由に配信を止めたり、対象から外したりしない
一画面に詰め込まないというのは、聞く数を減らすことだけではありません。聞く順番を決め、答えなかった人の配信まで決めておくことで、質問は配信の流れの中に無理なく収まります。
回答を配信に反映する仕組みを決める
質問を絞り、聞くタイミングも決まりました。それでも、答えてもらった内容が管理画面にたまったままで、配信の文面や宛先に反映されないことがあります。原因は多くの場合、回答を誰が、どこで、いつ見るのかが決まっていないことです。
回答を誰が確認するか
回答は保存されても、配信に生かす作業は人の手に残ります。受け取る、保存する、配信に反映する、更新する。この四つに分けて担当を決めます。小さな店で一人が兼ねる場合も、いつ行うかまでは決めておきます。決めずに始めると、忙しい日の後に回答だけが残ります。
| 役割 | 担当の例 | 作業の中身 | 確認するタイミング |
|---|---|---|---|
| 受け取る | 配信担当 | 友だち追加の画面と、後日のアンケートで回答を受ける | 友だち追加の翌日 |
| 保存する | 配信担当 | 管理画面のメモや表計算ソフトに、回答と受け取った日付を写す | 回答が届いた週のうち |
| 反映する | 店長 | 次回の配信の宛先と文面に、回答を当てはめる | 配信を作る前日 |
| 更新する | 全員 | 古い回答に気づいたら、聞き直しの案内を出す | 月に一度の見直し |
目安の日数を決めておくと、確認する日が曖昧になりません。回答が届いてから次の配信までの間に、誰がどこで見るかを一文で書いておきます。
情報が古くなったときの扱い
来店の回数や関心のある商品は、時間がたてば変わります。半年前の回答をそのまま使い、「いつもご利用いただき」と書くと、読者との間にずれが生まれます。古い回答は消さずに、いつ時点のものかが分かる形で残します。
- 定期的に聞き直す項目を決める(例:季節の変わり目に一度)
- 配信の反応を手がかりに、関心を確かめ直す
- 選択肢に「今は決めていない」を用意し、答えたくない人も選べるようにする
回答は、集めることではなく使うためにあります。配信を出すたびに、反映できた回答と、反映できなかった回答を確かめると、質問の数も自然に整います。
聞いた情報を、配信文でどう使うか
質問への回答は、集めただけでは配信に反映されません。回答を手がかりに宛先や文面を選ぶ工程まで決めておくと、聞いた情報が初めて配信の中で働きます。ここからは、分け方と文面の作り方を、実在する店の結果ではなく、考え方を示すための架空の例として見ていきます。
属性で分ける配信の例
分ける配信とは、友だち全員に同じ文面を送るのではなく、回答などの属性に応じて、届ける文面や案内する内容を変えるものです。全員に同じ案内を送る場合と、回答で分ける場合では、どこで内容が決まるかが違います。
- 友だちが質問に回答する
- 回答の有無を確認する
- 回答あり
属性ごとの文面を選ぶ回答なし
全員向けの共通文面を選ぶ - 配信を送り、反応を見る
来店の回数で分ける場合
来店の回数を聞いていれば、その回数で文面を変えられます。たとえば、一度だけ来た人には次に試せる一品と営業時間を、複数回来ている人には季節の入れ替わりと新しい案内を、という分け方です。同じ「来店してほしい」という目的でも、読者が知りたいことは違います。ただし「いつもご利用いただき」と書くには回数の裏付けが要ります。回答がない人にまでその言葉を使うと、事実と合わない文面になります。
関心のある商品で分ける場合
関心のある商品を選択式で聞いていれば、案内する商品の順番や書き出しを変えられます。麺類を選んだ人には麺類の新作を先に、甘味を選んだ人には甘味を先に置く、といった使い方です。商品名や価格は店の実物に合わせ、回答から推測して品ぞろえを作らないようにします。
文面に反映するときの注意
- 回答をそのまま引用せず、読んで不快にならない言葉に置き換える
- 回答がない人にも届く共通の文面を、必ず一通は用意する
- 古い回答を今の関心として扱わず、聞いた時期を確かめる
- 宛先と文面が対応しているかを、送信の直前に見直す
分ける配信は、その分だけ作る手間が増えます。最初からすべての属性で分けようとせず、目的に直結する一か所だけを分け、反応を見てから次を足すと、運用が続きます。




