割引を送った日は来店がある。でも、次の割引までお客さまが戻ってこない。そんな配信が続くと、「次は何%引きにしよう」と、値引きの話ばかりになりがちです。配信文を増やす前に「誰に、どの来店理由を、いつ届けるか」を見直す必要があります。

再来店を促すLINE配信は、全員に同じ割引を知らせるだけではありません。初めて来た人には次に試せる商品を、しばらく来ていない人には季節の変化を、予約を迷っている人には空き時間を知らせる。お客さまの状況と、店に戻る理由を結びつけます。

店のメニューを見て次の来店を考えるお客さまと、配信内容を整理する店舗担当者の説明用イラスト。

友だち追加の日と来店日を分けて考える

LINE公式アカウントの標準ステップ配信は、友だち追加を起点に、待ち時間や条件を設定して順番にメッセージを送る機能です。配信したメッセージは、課金対象の配信通数に含まれます。

ここで間違えやすいのが、友だち追加の日を最終来店日と扱うことです。店頭で初めて追加した人なら、その日は来店日でもあります。しかし、その後に再来店しても、友だち追加の日が更新されるわけではありません。WebサイトやSNSから追加した人は、まだ来店していない可能性もあります。

「最後に来た日から30日後に送る」には、来店日時を記録し、LINEの配信対象と結びつける仕組みが必要です。予約システムや会員証、LINEミニアプリなど、店舗の運用に合う方法を選びます。標準ステップ配信だけで、最終来店日を自動で追えるとは考えないでください。

友だち追加が起点の配信と、来店記録が起点の配信を分ける図。追加後の案内は標準ステップ配信、最終来店後の案内は来店データとの連携が必要。
友だち追加と来店記録では、配信を始める条件が違います。

再来店の理由を、店の実態から選ぶ

飲食店を運営するDazyのLINEヤフー公式事例には、来店データを配信に生かす過程が載っています。2025年7月公開の取材では、ある店舗の初回来店者で再来店した人の平均来店間隔が40日と分かり、それより早い30〜35日以内の再来店に使えるクーポンを配信したと説明されています。

この取り組みは、LINEミニアプリで来店日時や注文内容を取得し、分析して配信するものです。取材先の数字を、どの店舗でも得られる効果として扱うことはできません。参考になるのは、配信のタイミングを店舗のデータから決めている点です。

来店記録をまだ取れていない店舗でも、次の来店理由は整理できます。以下は実績ではなく、配信を考えるための例です。

お客さまの状況 次に来る理由 LINEで伝えること
ランチで初めて来た 別のメニューも試したい 定番と違う一品、提供時間、注文方法
季節の商品を購入した 新しい季節の商品が出た 販売開始日と、前回との違い
予約の空きを探している 都合のよい時間が空いた 日時、予約先、対象となるサービス

1つの配信に、新商品、全店セール、採用案内を詰め込むと、何をしてほしいのかがぼやけます。配信ごとに来店理由を1つ選び、その理由に必要な情報をそろえます。

登録してもらう理由と、断れる方法を用意する

友だちを増やす段階でも、お客さまの都合を考える必要があります。2026年7月15日のXの投稿では、tkqさんが、初めて行く店で注文にLINE登録を求められると、再び訪れることがほとんどないという自身の経験を書いています。返信にも、店員へ直接注文したいという声があります。

これは個人の体験と意見で、LINE登録を求める店舗全体の再来店率を示すものではありません。ただ、登録人数だけを追うと、登録を望まないお客さまの不便を見落とす可能性があります。

Dazyの事例には、友だち追加をしなくても注文できると説明されています。登録で受け取れる情報を伝えたうえで、断った人も注文や予約ができる方法を用意する。配信文と同時に、店頭での案内も確認する必要があります。

飲食店の配信文を、3つの役割で組み立てる

以下は、ランチを提供する定食店を想定して独自に作った配信文です。実在する店の営業案内でも、Dazyが使った文面の転載でもありません。営業時間、商品、メニューのボタンがある設定で、文章の組み立てを示します。

1通目は、何が届くLINEなのかを伝える

登録直後に知らせたいのは、割引額より「このLINEを残しておくと何が分かるか」です。あいさつメッセージで送る場合は、同じお礼をステップ配信でも重ねないようにします。

友だち追加ありがとうございます。 このLINEでは、週替わりの定食と営業日の変更をお知らせします。 ランチは11:30〜14:00。メニューは画面下の「ランチメニュー」から確認できます。 気になる一品を、次のランチ選びの参考にどうぞ。

登録時点では、店頭で登録した人とWebから見つけた人が混ざることがあります。「本日はご来店ありがとうございました」と全員に送るより、追加のお礼なら両方の人に通じます。

2通目は、次に注文するものを選びやすくする

少し間を空けた案内は、1通目と同じ営業時間を繰り返すだけではなく、商品の選び方を伝えます。登録から3日後という設定であっても、3日前に来店したとは限りません。

次のランチ、何にしようか迷ったら。 さっぱり食べたい日は焼き魚定食、野菜も取りたい日は具だくさんの豚汁定食をご用意しています。 写真と内容は「ランチメニュー」にまとめています。 気になる一品を、次のランチの候補にしてみてください。

この例は「別の商品を知る」を目的にしています。テイクアウトの予約を増やしたい店なら、商品紹介に加えて注文締切と受取方法が必要です。伝える目的を変えたときは、最後のボタンも注文先に変えます。

3通目は、今来る理由を具体的に知らせる

再来店の理由には、値引き以外にも、新しいメニュー、季節の商品、予約できる枠があります。どれも、店で実際に提供できる内容に合わせます。

秋のきのこ炊き込みご飯を、今週の定食に加えました。 いつもの白ご飯から変更できます。提供は今週金曜のランチまでです。 内容と写真は「今週の定食」から確認できます。 秋の一品を食べたい日のランチにどうぞ。

「期間限定」とだけ書くより、何が違うのか、いつまでか、どこを見れば分かるかを伝えます。来店記録がない状態では、この文を「最後の来店から7日後」の案内として自動送信することはできません。季節商品は配信日の営業内容に合わせ、終了後に同じ文章が送られないようにします。

3通を、同じお知らせの繰り返しにしない
  1. 1
    登録直後何が届くかとメニューの場所を伝える
  2. 2
    商品選び次に頼む一品を選びやすくする
  3. 3
    来店の理由新商品や季節の変化を具体的に伝える
役割を分けた設計例。配信する日と回数は、自店の営業と来店間隔に合わせます。

美容室と物販では、知らせる内容と時期を変える

定食店の3通を、美容室へそのまま移すと「来る理由」が合わなくなります。別の業種へ使うなら、次のように組み替えます。

業種 次に使うときの迷いを減らす案内 再び来る理由の例 配信前に確かめること
美容室 施術後の手入れと次の予約方法 希望する担当者の予約枠 施術内容と予約状況。全員を同じ来店周期にしない
物販店 購入商品の手入れや組み合わせ 同じ用途の新商品、消耗品の補充 購入履歴と在庫。買ったばかりの商品を勧め直さない
飲食店 メニューの選び方と注文方法 季節の一品、予約できる時間 提供期間、売り切れ、営業時間

たとえば美容室なら、「来月の予約枠を公開しました。カットとカラーを一緒に予約する場合は、メニュー選択で両方を選んでください」のように、再予約で迷う操作を伝える案があります。空き枠を知らせるなら、送った後も予約ページで最新の状態が分かるようにします。

物販なら、「前回の靴に使える手入れ用品が入荷しました」と知らせる前に、その商品を買った人へ届けられるかを確かめます。購入履歴と配信対象を結びつけていない場合は、全員が買ったと決めつけず「革靴の手入れ用品が入荷しました」と案内します。

文末には、メニュー、予約、商品の案内など、読んだ後の行動に合うリンクやボタンを置きます。予約したい人が、店名をもう1度検索しないと予約先へ進めない状態を避けます。

開封の先に、来店と利益を記録する

開封数やクリック数だけでは、再来店したかは分かりません。クーポン機能とクーポンの分析を使う場合も、店頭でどの操作をもって「使用」とするかをそろえる必要があります。使用の記録を、そのまま配信による売上増と読み替えることもできません。

小さく試すなら、配信日、配信対象、クーポン利用、注文金額、特典の原価を同じ表に残します。割引で来店が増えても、特典原価や配信費を含めると利益が残らないことがあるためです。

例えば、配信対象が200人で、特典を使った会計が10件あった場合、10件を200人で割った5%は、あくまでその条件での利用割合です。LINEがなくても来店した人が含まれるかもしれません。これは架空の計算例で、再来店率の改善実績ではありません。

客数の少ない店では、数件の差で割合が大きく動きます。曜日、天気、イベント、商品変更も記録し、同じような営業条件の期間を比較します。配信前後の差が、すべてLINEだけで生まれたと断定しないことが大切です。

店に戻る理由と、配信する条件をそろえる

標準ステップ配信で登録後の案内を整えるのか、来店記録と連携して1人ずつ案内するのか。この2つを分けるだけで、必要な設定と日々の記録が変わります。

来店データとの連携を急ぐ前に、店頭での登録案内、予約リンク、特典の使用記録をそろえる方法もあります。運用する人が続けられ、来店と利益まで確かめられる設計が、店舗に合う配信の出発点になります。

株式会社ありがとうでは、店舗のLINE構築・運用と、予約や問い合わせにつながるWebページの制作を扱っています。LINEとWebの相談では、今の登録案内、配信内容、予約先を材料に、必要な仕組みを整理できます。