たとえば、レジ横にQRコードのPOPを置き、サイトの記事末にも「友だち追加はこちら」のボタンを付けている。どちらも以前から置いてあるのに、追加の数はほとんど動かない。こうしたときに「案内の仕方が悪いのだろう」とひとまとめに捉えてしまうと、直す場所を決められないまま、POPの文言やボタンの色を少し変える修正を繰り返すことになりがちです。

しかし、店頭で目の前にいる人と、Webで記事を読んでいる人とでは、追加するまでの手順も、途中で止まってしまう理由も違います。そこでこの記事では、まず入り口を店頭・Web・紹介の三つに分けて障壁を点検する見方を整理します。続いて、店頭の案内をその場で完結させる置き方、Webでの案内の位置、追加直後の最初の画面、そして経路ごとに数字を記録して見直す進め方を、順に確認していきます。

友だちが増えない理由を、入り口ごとに分けて見る

「友だち追加が増えない」とひとまとめにすると、直す場所を決められません。お客さまがどの入り口から来たかによって、止まっている場所は違うからです。まずは入り口を分けて、追加までの手順を書き出すところから始めます。

店頭・Web・紹介の三つに分ける

入り口は、店頭・Web・紹介の三つに分けると整理しやすくなります。店頭は、来店した人がその場でQRコードを読み、追加の画面を開く流れです。Webは、記事や予約ページを読んでいる人が、別の画面へ移って追加します。紹介は、知人から届いたリンクや店舗で渡されたカードがきっかけで、時間が空いてから追加する流れです。同じ「追加」でも、スタッフがそばにいるか、読んでいる内容の途中か、後から一人で操作するかが違います。

経路ごとに、障壁は違う

手順が違えば、つまずく理由も変わります。店頭なら、案内に気づかれない、QRコードを読み取れない、その場で操作する時間がない。Webなら、案内が見つからない、追加する理由が分からない、別の画面へ移るのが面倒。紹介なら、案内を後で見返せない、どの店のLINEか分からない、といった具合です。次の表は、点検の観点を比べるために作った例で、実際の数値ではありません。自社の手順と重ねて、止まりやすい場所に印を付けてみてください。

経路追加までの手順の例つまずきやすい点の例まず見直す場所
店頭レジ横のPOPを見て、その場でQRコードを読み、追加画面を開くPOPがレジの奥で見えにくい。読み取りに手間取るQRコードの位置と大きさ、声かけのタイミング
Web記事末や予約ページの案内から、LINEの追加画面へ移る本文の流れが途切れる。追加後に何が届くか分からない案内を置く位置と、追加する理由の伝え方
紹介知人から届いたリンクや、渡されたカードから後で追加する案内を開いたときに、どの店のLINEか分からないリンクやカードに入れる店名と目的の書き方

店頭の案内を、その場で完結させる

店頭の案内は、置いてあることと、その場で完結できることが別です。POPを目にした人が、スマホを取り出し、QRコードを読み取り、追加の画面を開くところまでを、来店の流れの中で想像しながら点検します。ここでは置き場所と大きさ、そして声かけの順番に分けて見ていきます。

QRコードの置き場所と大きさ

置き場所は、人が立ち止まる位置から決めます。レジ横、カウンター前面、入口のPOP、会計後の受け取り位置など、候補ごとに「どの向きで、どの高さで目に入るか」を書き出してみてください。次の表は点検のための例で、実際の店舗を測定した結果ではありません。

置き場所の候補見え方の例点検する点
レジ横のカウンター上面会計を待つ人の正面、目線の高さ手元の荷物や値札に隠れず、案内だと分かるか
カウンター前面列に並んだ人が自然に見る位置かがまずに読めるか、文字が小さすぎないか
入口付近のPOP入店直後に目に入る位置立ち止まらずに読める大きさか、通り過ぎられないか
会計後の受け取り位置財布をしまう直前の位置会計後の声かけのタイミングと合っているか

大きさは、実際に数歩下がって見て、スマホのカメラで読み取れるかで確かめます。値札やメニューと並べて置くと、案内だと気づかれないことがあります。枠や余白で区切り、何のQRコードかを文字で添えておくと、読み取る前の迷いを減らせます。

スタッフの声かけの順番

声かけは、思いつきで変えず、順番を決めておくと店内で共有しやすくなります。次の流れは例です。会計の区切りで一声かけ、受け取れる情報を一言で伝え、QRコードの場所を指で示す。読み取れないときは、無理に促さず画面を一緒に確認します。

声かけの流れの例
  1. 会計の区切りで、ひと言声をかける
  2. このLINEで届く情報を、一つだけ伝える
  3. QRコードの場所を指で示す
  4. 読み取れないときは、画面を一緒に確認する
  5. 追加後の画面を見て、案内を終える

会計前に案内するときの注意

会計の前に案内すると、支払いの手元が止まり、後ろに並ぶ人も待つことになります。急かす言い方や、追加を前提にした案内は避け、断られたらそのまま会計へ進みます。追加しなくても困らないことを伝えておくと、案内する側も無理をせずに声をかけられます。

  • 「本日はご来店ありがとうございました。次回のお知らせをLINEで配信しています」と、お礼の後に目的を続ける
  • 「ご興味があれば」を添え、その場で操作を求めない
  • 読み取りの途中で会計が進んだ場合は、待たせている人がいれば案内を止める

Webの案内は、読む理由とセットで置く

記事末・予約画面・問い合わせ後に置く

Webの案内は、店頭と違って、読んでいる人のそばに説明する人がいません。だからこそ、置く位置は「目立つ場所」ではなく「追加する理由が生まれる場所」で選びます。記事を読み終えて内容を試そうとしたとき、予約の日時を決めたとき、問い合わせを送って返事を待つとき。その直後なら、案内は唐突な割り込みではなく、次の一歩として読まれます。

次の表は、置く場所ごとに、読者が何をしている最中かを並べた例です。実際の反応を測ったものではありません。

置く場所の候補読者の状態の例案内に添える理由の例置き方の注意点
記事末読み終えて、内容を自分の場面に当てはめている「続きの手順や更新をLINEで受け取れます」結論や次のリンクを押しのけない位置に置く
予約画面日時や人数を選び、予約を確定しようとしている「予約の変更や当日のご案内をLINEで受け取れます」予約の完了を妨げず、案内を飛ばせるようにする
問い合わせ送信後送信を終えて、返事を待っている「回答までの連絡や補足をLINEで受け取れます」送信ボタンより前に割り込ませない
サービス説明の途中内容を見比べて、申し込むかどうか迷っている「判断に使える情報をLINEで受け取れます」本文を分断せず、段落の切れ目に置く

位置を決めたら、案内そのものは短くします。何が届くのかを一文で書き、ボタンは本文の流れを止めない大きさにします。同じ文を複数の場所へ貼るより、その場所で読者が知りたいことに合わせて一文を変えるほうが、押す理由が伝わります。

追加しない人も先へ進める設計

案内を置くと、どうしても「追加しないと先に進めない」形にしたくなります。しかし、追加をためらう人にも、予約や問い合わせは完了してもらう必要があります。案内は選択肢として置き、断った人にも同じ結果を用意しておきます。

追加するかどうかで、先へ進めなくならない形
  1. ページを読む
  2. 案内を見る
  3. 追加する、または今はしない
  4. どちらでも予約・問い合わせを完了できる
  • 予約や問い合わせの完了条件に、友だち追加を入れない
  • 案内の近くに「今はしない」「あとで」と進める導線を残す
  • 追加しなかった人も、同じ内容をページ上で読めるようにしておく

入り口を増やすほど、置き方の違いは数字に表れにくくなります。どのページの、どの位置に置いた案内なのかをメモに残しておくと、後の見直しで「効いていた場所」をたどりやすくなります。

追加後の最初の画面で、期待を裏切らない

友だち追加の案内を増やしても、追加直後に何が届くかが伝わらなければ、通知を止められたり、追加したこと自体を忘れられたりします。入り口を広げる前に、追加後の最初の画面を整えておきます。

あいさつメッセージに書く三つのこと

あいさつメッセージは、追加した人が最初に読む文章です。次の三つに絞ると、短い中でも伝わる内容になります。

  • 差出人と目的:「〇〇店のLINEです。ご予約と営業日のお知らせをお送りします」のように、誰からの配信で何に使うのかを最初の一文で示します。
  • 届く内容:次回以降に送る情報を一つか二つ挙げます。商品、営業日、予約の空きなど、実際に配信できるものだけを書きます。
  • 次にできること:「画面下のメニューから予約できます」のように、追加直後に開ける場所を案内します。

長い自己紹介や特典の説明を詰め込むと、読み飛ばされます。特典がある場合も一文で触れる程度にとどめ、詳細はメニュー側へ置くと本文が軽くなります。

区分項目の例そうする理由
入れる店名と配信の目的どの店のLINEか分からないと、後で通知を見たときに開かれないため
入れる配信する内容の例を一つ何が届くか分かれば、友だちに残しておく理由になるため
入れる次に開く場所の案内追加直後にやることが分かり、最初の離脱を減らせるため
入れない長い会社紹介読み手の関心は、自分に届く情報へ向いているため
入れない期間の短い特典の詳細期限を過ぎた文面が残り、古い案内になってしまうため
入れない店頭でのみ通じる言い回しWebから追加した人には状況が伝わらないため

リッチメニューの最初の行き先

リッチメニューは、追加直後の画面の下に並ぶメニューです。項目を増やすと迷うので、最初に押してほしい行き先を一つ決めます。予約、メニュー、店舗情報のうち、追加した人が最も知りたい内容を先頭に置きます。

  1. 友だち追加
  2. あいさつメッセージを読む
  3. リッチメニューの先頭を押す
  4. 予約・メニューなどの目的の画面へ

店頭で追加した人と、記事を読んで追加した人が同じ画面に集まります。「本日はご来店ありがとうございました」のような店頭前提の言葉は避け、どこから追加しても通じる書き方にします。項目名も社内の呼び方ではなく、利用者が探す言葉に合わせます。

まずはあいさつメッセージとメニューの先頭だけを直し、経路ごとの変化を記録すると、修正が効いたかを後から確かめられます。

追加数を、経路ごとに記録して見直す

入り口を増やしたあと、効果を確かめる手段がなければ、どの案内を残すべきか判断できません。ただし、最初から多くの数字を集めると記録が続きません。まずは経路ごとに、同じ形式で残せる項目を決めます。

記録する項目を絞る

残すのは、日付、経路、案内を置いた場所、追加数、気づいたことの五つ程度で十分です。項目を増やすほど記入が面倒になり、続かなくなります。次の表は記録の形式を考えるための例で、実際の数値ではありません。

経路別に残す記録項目の例
項目記入する内容の例残す理由
日付5月1日から5月7日まで、のように期間で区切る期間をそろえると、次の期間と比べられる
経路店頭、Web、紹介のいずれかどの入り口が動いたかを分けて見られる
案内の場所レジ横のPOP、記事末のボタン、渡したカードなど同じ経路でも場所ごとの違いを比べられる
追加数その期間に追加された人数変化を追うための最小限の数字
気づいたこと「声かけを午後に変えた」などの一言数字が動いた理由を後から思い出せる

数字だけを残すと、増減の理由が分からなくなります。案内の文言を変えた、置き場所を移したといった出来事を添えておくと、見直しのときに原因をたどれます。店頭とWebでは数えるタイミングも違うため、いつ時点の数字なのかをそろえておきます。

見直しの周期を決める

見直しは、回数を増やすより、同じ間隔で続けることが大切です。週に一度、あるいは月に一度と決め、その日に経路別の数字と気づきを読み返します。一度の結果で結論を出さず、二、三回分を並べてから、残す案内と変える案内を選びます。

見直しの流れの例
  1. 期間を決めて記録する
  2. 経路ごとに数字を並べる
  3. 気づいたことを読み返す
  4. 残す案内と変える案内を決める
  5. 次の期間で確かめる

記録は、入り口を増やすためではなく、増やした案内を無駄にしないために残します。すべてを一度に変えず、一つの経路、一つの場所から試すと、変化を読み取りやすくなります。