問い合わせをAIで分類できれば、担当者へ渡すまでの手間を減らせるかもしれません。ただし、AIに何を選ばせるのか、判断できない場合にどうするのかが決まっていないと、仕分けの手間が別の場所へ移るだけです。

OpenAIが2026年10月に発表した「Decisions API」の記事では、入力を分類したり、次の対応先を選んだりするような、答えの範囲をあらかじめ決めた判断を紹介しています。この記事は特定の製品を勧めるものではありません。問い合わせ対応でAIを使う前に、会社側で決めておきたい運用を整理します。

最初に、AIへ任せる判断を一つに絞る

「問い合わせ対応を自動化する」では範囲が広すぎます。まず、繰り返し発生している判断を一つだけ選びます。たとえば、問い合わせを「予約」「料金」「その他」に分けて担当窓口へ渡す作業です。

選択肢は担当者が次に行う作業と結びつけます。「予約」と分類したあと、どの担当者が何を確認するのかまで決めます。分類結果を記録するだけで、対応が変わらないなら、AIを加える理由を見直します。

答えられない問い合わせの出口を作る

実際の問い合わせには、複数の用件が混ざっていたり、情報が足りなかったりすることがあります。選択肢の中から無理に答えを選ばせず、「担当者が確認する」という出口を用意します。

問い合わせを振り分ける基本の流れ
  1. 問い合わせを受け取る
  2. 決めた選択肢へ分ける
  3. 自信がない場合は人へ渡す
  4. 担当者が確認して返答する

どこまでをAIに任せるかは、間違えたときの影響で決めます。担当窓口を提案するだけなら、担当者が送信前に確認できます。契約、返金、個人情報、緊急対応のように判断の結果が大きい内容は、自動で完了させず、人が確認する手順を残します。

使う前に、例を集めて試す

実際に使われた問い合わせから、よくあるもの、情報が足りないもの、複数の用件があるものを選びます。個人情報や社外秘の情報を含める前に、使うデータと保管先を確認します。試験用の文章で代用できる場合は、先にその方法を検討します。

例ごとに、正しい分類、AIの回答、人へ回すべきかを記録します。間違いがあれば、選択肢が足りないのか、説明が曖昧なのか、問い合わせの情報が不足しているのかを分けて見ます。正解率だけで判断せず、人が確認した件数や、担当者の手直しが必要だった箇所も確認します。

担当者が修正できる形にする

分類の結果は、問い合わせ本文と一緒に担当者が読める形で渡します。AIが何を選んだかだけを表示するのではなく、元の内容と判断理由を確認できるようにします。担当者が分類を直せた場合は、後から設定を見直せるように記録します。

運用を始めた後も、分類が合わない例や新しい用件が出てきたら、選択肢と人への引継ぎ条件を見直します。AIを入れること自体が目的ではありません。問い合わせを受け取った人が、次に何をするか迷わない状態を作ることが目的です。

参考: OpenAI「Build more responsive apps with the Decisions API」